夢見カタバミ

ぱるふぁん(twitter→@parfum_de_robe)が見た夢の内容を淡々と記録していきます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

殺人鬼の話(後編)

全てを思い出し理解する前に、ボブは事務所を出発してしまった。だがボブを追いかけるよりとりあえず他のメンバーを避難させるのが先だ。 事務所の奥には小さな隠し扉があり、そこから狭い階段を降りると外に出ることができる。私は他のメンバーに事情を手短…

殺人鬼の話(前編)

ミュージカル観劇を終え、売店で買ったパンフレットを手に劇場から出ると外はすでに夜だった。 「なんだかよく分からなかったな」 と叔父が言うと、 「ちゃんとあらすじ予習しないからだよ」 と叔母が笑った。 殺人鬼集団に狙われる街を自警団が守るストーリ…

マツキヨとPayPayの話

涼しい夜だが、少し歩くと鼻の頭にじんわり汗が滲む。マツモトキヨシに着くと、いつも通り店の外に重ねられた買い物カゴを一つ取って明るい店内に入った。 マツモトキヨシでの買い物はPayPayで支払うと決めている。感染症対策でもあるし、キャッシュレスでの…

終電を逃す話

祖父母の家に向かおうとして終電を逃してしまった。乗り換えに失敗したのだ。ギリギリの乗り換えで急いだあまり、間違えて別のホームに来てしまった。気づいた時には、もう終電は発車した後だった。 『終電逃しちゃった』 『今〇〇駅。タクシーで向かうね』 …

電磁気学と逃避の話

「では、始めてください」 試験官の声とともに、学生たちが一斉に紙をめくる。どの学生も真剣そのもので、教室の空気は殺気立っている。それもそのはず、これは卒業試験なのだ。この試験の合否で、卒業できるか否かが決まる。 手元の紙をめくると、問題文が…

夜逃げの話

「引っ越すよ」 そう言って、母は真夜中に私を起こした。 真っ暗な家の中で、なぜか電気もつけずに無言で荷造りをする。大きなリュックサックと、ボストンバッグと、いくつかの段ボール箱に全てを詰め込む。あっという間に家の中は空っぽになった。名残惜し…

愛と死の話

彼は子どものように、落ち着きなくうろうろと布団の周りを歩き回っていた。気分が高揚しているのか、楽しそうにはしゃいでいる。 「もう、布団に入らなきゃダメでしょ。もうすぐなんだから」 私も口ではそう窘めるが、内心ではそんな彼を微笑ましく思いつつ…