田舎のでこぼこ道。どこまでも続く褪せた色の畑。少し暖かい風。ひぐらしの微かな鳴き声。トロトロと走る軽トラック。その荷台に私は腰掛けていた。 私の肌はクチャクチャに老いていて、トラックが小さな凹凸を越える旅に坐骨のあたりが痛む。隣には孫ほど歳…
彼は子どものように、落ち着きなくうろうろと布団の周りを歩き回っていた。気分が高揚しているのか、楽しそうにはしゃいでいる。 「もう、布団に入らなきゃダメでしょ。もうすぐなんだから」 私も口ではそう窘めるが、内心ではそんな彼を微笑ましく思いつつ…
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