夢見カタバミ

ぱるふぁん(twitter→@parfum_de_robe)が見た夢の内容を淡々と記録していきます。

黒猫の話

道路の上に、黒猫が倒れていた。いつも私に懐いている馴染みの野良猫だ。目を閉じてじっとしており、生きているのか死んでいるのか分からない。よく見ると体のどこかから出血しているようで、小さな血溜まりができている。

とりあえず建物の中に運び込まねばなるまい。私は黒猫を両手で抱き抱え、すぐ近くにある自分の住まいへと向かう。猫の体に力が入っていないせいか、やたらと重い。建物の入り口まで来たところで私の腕力に限界が訪れ、床に黒猫を横たえた。

 

私は大きな段ボール箱を抱え歩いていた。中身は空で、フタも開いている。私は黒猫を横たえた場所に向かった。段ボール箱に黒猫を入れて運ぼうと考えたのだ。持ってきた段ボール箱に入れようと黒猫を抱き上げると、さっきまで意識を失っていた黒猫がぱっちりと目を開けた。その途端、黒猫はジタバタと激しく暴れ始め、私の腕をすり抜け物陰へと走っていった。追いかけていくと、近くにあった机の下に潜り込んでいるのが見えた。怯えた様子でこちらを見ている。私は自分の足元に段ボール箱を置くと、しゃがんで黒猫に話しかけた。

「大丈夫だよ。酷いことは何もしないよ。あなたを助けたいだけ」

そのまましばらく静かに待っていると、やがて黒猫はそろりそろりと机の下から這い出て自ら段ボール箱の中に収まった。

よく見ると黒猫の体のまわりを何か小さくて黒いものがぴょんぴょんと跳ね回っている。じっと目を凝らすと、それは親指ほどのサイズもない小さな小さな子猫だった。この黒猫のこどもだろうか。親猫だけを連れて行ってしまってはこの子猫は生きていけないだろう。私はこの子猫も連れて行くことにした。

 

セーラー服を着た女子学生が5人ほどやってきた。

「猫ちゃんだ!可愛い!」

などと口々に言いながら段ボール箱に近づいてくる。女子学生は全員そっくりの見た目をしており、そして皆ずいぶんと体格が大きい。まるで柔道のオリンピックメダリストのようだ。女子学生に怯えた小さな子猫はぴょんぴょんと跳ねて段ボール箱から逃げ出してしまった。

「私は子猫ちゃんを追いかけに行くから、あなたはこの箱の中でじっとしていてね」

と私は黒猫に話しかけた。黒猫は声も出さずじっと私の目を見つめているが、どうやら私の言葉を理解しているようだ。

「この猫、怪我しているんです。これから保護して病院に連れて行くところなので、触らないでくださいね」

と女子学生たちに伝え、私は子猫を追って走り出した。

 

体は小さいのに移動速度はずいぶんと速い。しばらく走り続けて、ようやく子猫を捕まえた。両掌に閉じ込めたが、手の中で激しく跳ねて暴れている。時々噛みつくので掌がとても痛い。しかも子猫の力はどうやら徐々に強くなっているようだ。

ついに痛みに耐えられなくなった私は、思わず手を離した。私の掌から飛び出したのは、子猫ではなく、足の長い大きな蜘蛛だった。ぴょんぴょんと跳ねながら逃げていく蜘蛛を、私は呆然と立ち尽くし見つめていた。

 

 

 

……という夢を見ました。ちなみに現実世界での黒猫ちゃんは今日も木の上で元気に毛繕いしており、安心しました。

 

今日の話は、これでお終い。