夢見カタバミ

ぱるふぁん(twitter→@parfum_de_robe)が見た夢の内容を淡々と記録していきます。

中村優一さんに会いたい話

休日の昼下がり、いつもよりものんびりと身支度をし、着慣れた高校の制服に袖を通す。リビングでテレビを見ていた母がふと思い出したようにこちらに顔を向けた。

「ねえ、今日の夕方、〇〇高校で中村優一が講演会だって」

中村優一は俳優だ。私の大好きなテレビ番組『仮面ライダー電王』の中で、私の最も好きな登場人物、桜井侑斗を演じていた。そして〇〇高校とは私の通う高校であり、今まさに私が向かおうとしている場所だ。好きな俳優さんが、私の高校に来るなんて!胸を踊らせ、私は玄関を飛び出した。

 

私は校舎の入り口に立っていた。あれ、何だったっけ……そう、中村優一さんだ。どこにいるのか、先生に聞いてみなくては。

職員室の中を覗くと、中年の男性教師が一人ぽつんと立っていた。見知らぬ顔だったが、〇〇高校の先生であるには違いなかった。講演会はついさっき終わった、中村優一さんは校長室に控えている、と彼は手短に告げた。

 

廊下を歩いていると、△△ちゃんが向こうから小走りでやってきた。△△ちゃんは私の大学同期だが、そこでの彼女は〇〇高校の同級生だった。

「講演会、もう終わったんだって。今は校長室にいらっしゃるって」

と、私は彼女に言った。△△ちゃんもなぜか中村優一さんに会いたがっており、そして私もなぜかその事を知っていた。

「あ、ほんまに?じゃあ早よ行かないと帰っちゃうかもしれへんよね。うち、今から校長室行くわ」

そう言って△△ちゃんは小走りで去っていった。私は早歩きで同じ方向に向かいながら、△△ちゃんと少しタイミングをずらせば中村優一さんと一対一で話せるかもしれないなどとぼんやり考えていた。

 

ひどく汗をかいていた。薄暗い、広い教室の端で私は床に座り込んでいた。教室の机は全て壁際に寄せられて、その上には椅子が重ねられていた。同じ年頃の女の子たちが二十人ほど集まっており、その全員が体操服を着て髪をポニーテールにまとめ汗をかいていた。教室の真ん中に明かりが差し込んでいて、スポットライトのようにそこだけを照らしていた。照らし出されているのは高橋みなみで、彼女も他の子と同じく体操服にポニーテールという格好をしている。

ああ、そうか。ダンスの練習をしているんだった。高橋みなみがあまりにも熱心なので練習が長引いているのだった。中村優一さんはまだ帰らずに学校にいるだろうか、早くしないと会えないかもしれない、でも練習を抜け出すのは高橋みなみに申し訳ない、と葛藤しているうちに音楽が流れ始めた。まだしばらく練習は終わりそうにないようだ。私は音を立てないようにそっと教室を抜け出した。

 

気がつけば私は人混みの中にいた。周りを見渡すと、どうやらそこは広い広い遊園地のようだった。どうしてこんなところに来てしまったのか。帰り道を探すが、地図や看板が全て中国語で書かれており解読できない。そうか、中国の遊園地に迷い込んでしまったのか。道行く人に英語で話しかけてみるが、悉く中国語で返され意思疎通ができない。しばらくして、私は走り出した。

大きなレストランや食堂をいくつも通り抜けた。遊園地なのに随分と食に力を入れているな、と不思議に思ったが、ここは中国なのだから当たり前なのだ、何と言っても中華料理で有名な中国なのだから、と私は納得した。

やがて私は長い列の最後尾に着いた。列の先にはチケットカウンターのようなものがあり、そこを通過すると遊園地の外に出られるようだった。列はとても長く、そして日はすでに沈みかけていた。ところで、この遊園地から出たとしてそこからどうやって帰れば良いのだろう。言葉も通じない見知らぬ土地で、私はどうすれば良いのだろう。その事に気づいた私は、家に帰る心配よりも、中村優一さんがいなくなる前に学校には到底たどり着けない事に絶望した。

 

 

 

……という夢を見ました。目が覚めたとき、中村優一さんに会えなかった残念さでいっぱいでした。

 

今日の話は、これでお終い。